FC2ブログ
RSS

1年で1日しか歌われない歌 (その1)


オーストリアには1年のうちで1日しかうたわれない歌がある。歌なのだから、本当はいつ歌っても構わないのだろうけど、オーストリアでは厳然としてその日だけしか歌われない。
日本にそんな歌あったかな?もぉーいくつ寝るとお正月の「お正月」や明かりをつけましょぼんぼりになどの「うれしいひなまつり」の歌は、季節性はあるが、その日だけということはない。何日か前あるいは数週間前から謳われたり、お店で曲が流れてくる。

オーストリアで1日しか歌われない歌は、賛美歌だ。ほぼ即席で作られた。遡ることちょうど200年前。日本では、伊能忠敬さんが日本地図を描き終えた頃の事。

ドイツ国境近くのオーベルンドルフという小さな町でのお話。クリスマスイヴの前日に、学校で音楽の教師をしていてたグルーバーは、聖ニコラス教会のオルガン奏者でもあった。200年前のクリスマスイヴの前日、つまり23日のこと、グルーバーは、クリスマスイブのミサで伴奏する練習のためにオルガンに向かった。しかし、オルガンが鳴らない。音が出てこない。調べてみるとオルガンの内部で、風を送るふいご=袋がネズミにかじられてしまっていた。片田舎にある教会での出来事。近くにオルガンの修理業者はいない。外は、雪深く積もっている。いたとしても、すぐには来てくれない。クリスマスイブまでには到底修理は間に合わない。

イブの当日、グルーバーは、オルガンが使えないことを友人の神父モールに伝えた。神父も途方に暮れた。神父の手元には、前々からギターの伴奏を想定して作詞していた詩があった。それを見た神父に名案が浮かんだ。神父はグルーバーに、その詩に曲をつけてくれるよう頼んだ。

しかし、グルーバーは、ギターのことはあまり知らない。初めのうちは「教会でギターを弾いても誰も気に入らないのではないか?」と渋った。ミサに間に合わせるにも時間が限られていた。「ギターコード三つぐらいは知っているだろう。三つくらいしかコードを使わない本当に簡単な曲を書いたらいいじゃないか。」というモール神父の説得もあって、詩に曲をつけることにした。ほんの数時間で詩に曲をつけなければならない。作曲し終えたのは、ミサ始まるわずか数時間前のことであった。礼拝ではモール神父のイタリア製ギターの伴奏にのって、新しいキャロルが披露された。ちょうど、200年前のクリスマス・イブの夜の出来事。

その後、この歌は音楽ファミリーによって欧州の各地で歌われるようになった。今日では、オーストリアでは国の宝とみなされている。伝統的に、歌われるのはクリスマスイブの日だけ。200年前の1818年12月24日に誕生したこの歌は、「きよしこの夜」.

天使の歌声といわれるウィーン少年合唱団による「きよしこの夜」
https://www.youtube.com/watch?v=NHs3ba-P9Yk

スポンサーサイト



コメント
▼このエントリーにコメントを残す